最近本を読んでないけど、面白い本ないかなぁ。
できたら小説が良いなぁ、なんだか現実逃避できるようなやつ・・・
そんな風に思っているあなたに読書大好きな私がオススメ本を紹介します。
やる気OLオススメの昭和文学
やる気OLは現在小説があまり得意ではありません。
身近な言葉が出るとなんか冷めちゃう、エレベーターに乗り込み・・・とか言われるとなんだか冷めちゃう。
おそらく現実逃避のために小説を読むので、身近なテーマが苦手なのでしょう。
そこでやる気OLがオススメするのは昭和文学、時代背景が違うので現代の出来事とは
切り離して没頭できますし、言語表現も美しい。
今回は私が読みやすい!と思った小説を紹介します。
あんまり古い小説は読んだことないって方でも抵抗なく入る有名作品を集めたので(今読み返したらだいぶ偏っていた)
ぜひ読んで見てください!
太宰治 斜陽
読んだことがある方も多いと思いますが、私が太宰治に触れたのはこの小説が最初。
冒頭の書き出しが大好きで暗記してるくらい。
朝、食事でスウプを一さじ、すっと吸ってお母様が、「あ」と幽かな叫び声をお挙げになった。
<中略>
お母さまは、何事もなかったように、またひらりと一さじ、スウプをお口に流し込み、すましてお顔を横に向け、お勝手の窓の、満開の山桜に視線を送り、そうしてお顔を横に向けたまま、またひらりと一さじ、スウプを小さなお唇のあいだに滑り込ませた。
これ!
これがを読んで、ああ、この先が読みたい!って私は本当に思ってそこから1時間かからずに
読破。
文体が森鴎外みたいに権威ぶってなくって読みやすいのもあるんだろうけど
スープをひらり、と表現するこの手法に小学生の私は痺れた。
要約すると貴族が没落してゆく様を描いた作品。
決して「落ちぶれる」ということではなく、没落してからの強い生き方に焦点を当てた作品。
主人公が貴族としての地位や財産を失いながらも、それと引き換えに得る物を拠り所に生きる、女性の私からすると強い女性の作品。
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谷崎 潤一郎 春琴抄
これも大好きな作品、何度読んだだろう。
映画化もされています。
盲目の琴の師範「春琴」とその下男「喜助」の愛の物語。
谷崎潤一郎作品は基本的に男女の主従関係がはっきりしていて、女性上位の書き方をするんだけど
これは最たる例かな。
喜助の献身的な愛を、谷崎潤一郎の美しいものだけを切り取ったような文章で表現している。
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谷崎 潤一郎 痴人の愛
これも超有名ですよね。
小悪魔ナオミに振り回される男の話。
このナオミがとんでもない悪女なんだけど、なぜか憎めない。
おそらく自分の欲望に正直で、その目的を叶えるために手段を選ばない姿勢って真似したいけど出来ない
憧れちゃうんだろうなぁ。
この作品も昭和の遊び場についての記述とか、洋服の概念とか当時の風俗が詳細に描かれていて
小説の内容以外にも興味をそそる情報がたくさん得られます。
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谷崎 潤一郎 卍
あれ?谷崎のまとめみたいになってきた。
卍、面白いよ〜!!!
一言で言うと百合と三つ巴の話です。
光子さんという美しい女性を巡ってある夫婦が倒錯的な愛情劇に巻き込まれて行く作品。
結末が衝撃的で美しく、読後のああなるほどね・・・感がすごい。
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ちなみにKindle版は無料だよ〜!
夏目漱石 坊ちゃん
定番だけど、私は夏目漱石の中では坊ちゃんが一番好き。
主人公の坊ちゃんの独白で展開する物語なんだけどキャラクターの描写が巧みで漫画やアニメを見ているように
情景が思い浮かぶ。本当にキャラクターの描写が上手だよね、昭和文豪は。
主人公とキヨの関係が私は大好きで、最後の一文には思わず涙します。
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太宰治 駆け込み訴え
イエスキリストを裏切った弟子「ユダ」の独白。
台詞回しのみで展開する小説ですが、切り口が斬新。
聖書では決して発見することのできない「人間としてのユダ」「人間としてのキリスト」が
ユダの長台詞で表現されます。
人は愛情を持てる唯一の動物、しかし愛故に人は苦悩し、弱くなる。
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司馬遼太郎 新撰組 血風録
出ました!司馬遼太郎の新撰組シリーズ、私はこの小説を読んで新撰組にドはまり。
故郷が山口県というバックグラウンドを捨てて新撰組研究に明け暮れたものです。
司馬遼太郎の作品は色々創作が多かったり美化されていると言われますが、当時の血なまぐさい戦いの様子や
腕利きの集まりである新撰組の中で切磋琢磨する隊士たちの様子が描かれています。
隊士たちそれぞれに得意な剣さばきがあって、読んでいるとワクワクしますよ。
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谷崎潤一郎 癇癪老人日記
ごめんなさい!谷崎潤一郎が大好きで・・・。
簡単に言うと義理の娘(息子の嫁)に欲情するおじいさんの話。
私はビックリしたよ・・・おじいちゃんになっても性欲って無くならないんだね。
むしろ研ぎ澄まされている、若造の性欲とは一線を画す。
とにかく読めばわかる。
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小林多喜二 蟹工船
歴史の資料集で拷問死の写真が載っていて一体何を書いたらこうなるの?と興味を持って読んだ作品。
時代なんだろうけど書いてあるのは労働者たちが環境に耐えかねて声を上げて戦おうとする話。
当時はクーデータを助長することになる危険思想とみなされたようなんだけど、これは現代の日本にも共通する社会の縮図だと思う。
生活が豊かな分声を上げないだけ今の日本の方が衰退しているような気すらする。
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井伏鱒二 黒い雨
広島の原爆被害にあったある夫婦と姪の話。
とんでもなく悲しい話だけどこれが本当にあった広島・長崎の現実であり戦争が引き起こした悲劇。
戦争が終わってからも戦争に苦しむなんでもない人たちの生活を描いており、平和である今の時代のありがたみを実感できる作品。
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まとめ
なるべく有名なやつ!と思って探したら、教科書とかで読まれてるんじゃないかと不安になってきた。
仮に読んでいたとしても、その頃と今読むのとじゃ感じ方が違ってると思うので再読するのも面白いと思います。
何より昭和文学は表現が綺麗、今みたいに英語表現などを混ぜてファジーに表現するのではなく
生粋の日本語(ちょいと英語はあったりもするけど)だけで表現されているから、心に響く気がします。
何より時代背景によって思想の主流は変わるので今は当然のことでも、当時は犯罪扱いされていたりもする。
そういう非日常を経験して現実を忘れる時間を作ることも、ストレスの多い現代社会に生きる我々には
必要なんじゃないだろうか。
通勤時に小説を読んで、余韻で昭和のお嬢さんになりきりながら出社したりするの楽しいよ!
独り言を昭和文学っぽく言ってインテリぶってみたり。
自分の日常に非日常を取り込むことで人生楽しく方向転換できます、そのきっかけとして手軽に文庫本を読んでほしいです!